木津宗詮3 日前1 分時雨今朝は格別寒い朝です。 空は晴れていますが、ここ吉田山は気まぐれな冷たい時雨が降っています。大徳寺大綱宗彦の短冊「時雨」です。 時雨 しくれする雲に心ハなかりけり 晴るるふるも風のまにゝゝ 大綱 時雨を降らす雲には何の思いもありません。晴れるのも降るのも風次第なのです。...
木津宗詮11月23日2 分新米子どもの頃に母親が食事の時に「今日は新米やで」と特に言われた時、なにかとても嬉しく、美味しいご飯を食べたことを思い出します。「古米」という言葉を久しく耳にしなくなりました。美味しいコメのなる稲の品種改良が進み、またその保存の技術が向上し、また美味しいご飯を炊くことのできる炊...
木津宗詮11月19日1 分源融陸奥のしのぶもぢずり誰ゆゑに 乱れそめにしわれならなくに 河原左大臣 『小倉百人一首』の源融の和歌です。 源融は嵯峨天皇の第十二皇子で、紫式部『源氏物語』の主人公光源氏の実在モデルとされ、融神社は融ゆかりの神社です。 しのぶもぢずりとは、現在の福島県信夫地方で作られていた、...
木津宗詮11月14日1 分時雨大伴池主 神無月時雨にあへるもみち葉の 吹かば散りなむ風のまにまに 一天にわかにかき曇り、激しい時雨が降りました。はるか松ヶ崎から銀閣寺にかけて、欠けることのない見事な虹がかかっています。
木津宗詮11月14日1 分吹寄吹寄とはさまざまな木の葉が風でひとところに吹き寄せられるさまに見立てていうことばです。 また、色づいた木の葉などをかたどった落雁(らくがん)・雲平(うんぺい)・有平糖(アルヘイとう)などの干菓子を取り合わせ、いかにも風に吹き寄せられた風情で菓子器に盛ったもにも使います。...
木津宗詮11月8日1 分11月8日 稽古場の床本日の祇園稽古場の床は、香川景樹の紅葉二首詠草です。 十月十九日東福寺に もうてる道にて客 よりみせる二首の題 景樹 紅葉所々 もみち葉は野にも山にも 盛にてまつ散ものは 心なりけり ゝゝ欲散 紅葉はゝ風のわたるも あやふきを天にかよへる 橋の名もうし...
木津宗詮11月7日1 分玉津島神社玉津島神社の披講無事に終えることができました。和歌三神の一柱で衣通姫命がご祭神です。冷泉家では俊成卿以来、歴代のご信仰が格別厚いとのことです。披講の講師を勤めさせていただいたことはまことに名誉なことであり、本当にありがたいことと感謝しています。ますますの歌道の上達を祈念して...
木津宗詮10月31日1 分江口君堂江口は大阪市東淀川区にある地名で、淀川の河口部分にあたり、神崎の津とともに海上交通の要衝として古くからにぎわった所です。江口の遊女は室津の花漆と同じく、「遊女長者」と呼ばれるほどの地位にいました。 四天王寺に参詣する西行法師が、江口を通った時ににわか雨にあい仮の宿りを遊女に...
木津宗詮10月30日3 分10月23日 稽古場の床1本日は旧暦9月9日重陽です。重陽は菊の節句として菊の着せ綿や、菊酒などで一般的です。 重陽では登高(とうこう)という厄払いも行われました。登高とは重陽の日に山に登って災厄をはらう行事をいいます。そのはじめは中国清代に書かれた北京の年中行事を記した『燕京歳時記』に、...
木津宗詮10月30日1 分10月24日 稽古場の床三重県の某団体の職員の稽古でした。床に大綱宗彦の白紙賛。前に秋明菊と時鳥を萩焼の花入に入れ、書院に紙釜敷に砧香合を飾りました。 したしきも うとく 成ゆく 人の世に 月はいくよの 秋も かはらし 大綱 いくら親しくても、歳月やおかれている立場により人は疎遠になります。これも...
木津宗詮10月23日2 分10月22日 稽古場の床本日の掛物は、松平不昧公の賛になる狩野伊川院の槙立山を掛けました。名残ということで宗全籠に秋草種々をいれました。 淋しさハその色としも なかりけり槙立山の 秋の夕くれ(印) この歌の作者寂蓮は。淋しさというのは特にその色で感じるわけではなく、槙が立つ山の秋の夕暮れに感じると...
木津宗詮10月23日3 分10月23日 稽古場の床本日は旧暦9月9日重陽です。重陽は菊の節句として菊の着せ綿や、菊酒などで一般的です。 重陽では登高(とうこう)という厄払いも行われました。登高とは重陽の日に山に登って災厄をはらう行事をいいます。そのはじめは中国清代に書かれた北京の年中行事を記した『燕京歳時記』に、...
木津宗詮10月20日1 分10月18日 稽古場の床本日の稽古の床は、深草の元政の詠草です。花は高砂芙蓉と秋明菊、段菊、萩、薮茗荷、水引草、苅萱を魚籠に入れました。 元政 朽はてねなをおりおりに問人の こころにかゝるたにの柴橋
木津宗詮10月20日1 分10月17日 稽古場の床家元の稽古のあと春日大社職員の稽古。冷泉為全(ためたけ)の賛になる岩倉具選(ともかず)画になる小男鹿図を掛けました。竹一重切花入に野紺菊と水引草を入れました。 霧はれてたちとさやかに 小男鹿乃の月や待らむ 夕ふくれの色 霧が晴れて、月を待つ小男鹿の立つ姿があらわになった夕ぐ...
木津宗詮10月14日2 分鴫立つ澤武者小路千家13代有隣斎宗匠の筆になる短冊です。 こゝろなきみにもあはれハしられけり しきたつさわのあきのゆふくれ 宗屋書 『新古今和歌集』所収の「秋の夕暮れ」を詠んだ「三夕の歌」として知られる西行の和歌です。 浮世を捨てて執着の念から遠いはずの出家の身である西行。いくら修...
木津宗詮10月13日1 分小男鹿の声江戸時代後期の冷泉家18代目当主の為則(ためのり)の月画賛です。 尹尚のすむ庵は鹿を 聞て秋しつかなるたのしみを さそとおもひて 山かけのつま恋きゝてすむ庵の あきもかそへんさをしかのこゑ 為則 毎年毎年、秋が訪れるたびに小牡鹿の嬬恋の声を楽しみとする尹尚。空は晴れ渡り月影...
木津宗詮10月12日1 分長〜い!賀茂季鷹の鶴の画賛です。 長 季鷹戯書 首長く口はしなかく 足長く よはひも長く よく揃ひ 鶴 首長く口ばし長く足長く 齢も長くよく揃ひ鶴 この一幅はわたしの大好きなものの一つです。こんな気の利いた画賛はほかの歌人にあまり例がないと思います。常々、わたしは季鷹の作品があまり...
木津宗詮10月6日1 分10月2日 稽古場の床稽古場の床に小堀遠州筆になる冷泉為頼宛書状をかけました。貴船菊と白萩、野地菊、段菊、縞蘆をを11代一指斎好みの昔籠に。この籠は7代直斎の百回忌の記念に一指斎が好み百個造らせたものです。 内々御契約申候、拙者一首一紙 書進之也 恐惶謹言 月前暁鐘...
木津宗詮10月2日2 分美意識足利義政が所持し、村田珠光、古市播磨守、松本珠報(しゅほう)を経て松屋源三郎家に代々伝えられたことから「松屋」と銘をつけられた肩衝茶入がいわゆる「松屋肩衝」です。「初花」「油屋」とともに大名物唐物茶入の代表として、古来尊重されて来ました。ちなみに松本珠報が所持していたことか...