木津宗詮11月7日1 分門を開けば落葉多し雨を聴いて寒更尽き 門を開けば落葉多し 『全唐詩』の無可上人の「秋に従兄の賈島に寄す」の句の一節です。 秋深くに粗末な家に閑居して、寒さが増していき侘しい思いが募る秋の夜長。パラパラと屋根に当たる時雨の音が聴こえます。その音をききつついつのまにか寝入ってしまいました。翌朝、...
木津宗詮10月15日1 分東籬東籬 盧を結びて人境にあり 而も車馬の喧(かまびす)しきなし 君に問う何ぞ能く爾(しか)るやと 心遠ければ地も自ずから偏なり 菊を采る東籬の下 悠然として南山を見る 山気に日夕(にっせき)に佳く 飛鳥相い与(とも)に還る 此の中に真意あり 辨全と欲して已に言を忘る...
木津宗詮9月28日1 分蔦の細道駿河なる宇津の山べのうつつにも 夢にも人に逢はぬなりけり 『伊勢物語』の業平東下りで、静岡の宇津ノ谷峠で詠まれた歌です。「蔦の細道」を通って峠を超えました。蔦の細道は平瀬家旧蔵の仁清の茶碗が有名です。それを元に先先代家元愈好斎が襲名の時に永楽妙全で好んだ茶碗で馴染みが深いで...
木津宗詮6月22日1 分斑唐津茶碗 山端武者小路千家10代以心斎の銘「山端」茶碗です。金継ぎが施され、それが景色となった沓形の斑唐津です。 箱には、 五月雨ははれんとやする 山端の かゝれる雲のうすくな りゆく 守(花押) と花園院の和歌が認められています。 天保6年(1835)に9代好々斎が無嗣で41斎で亡くな...
木津宗詮6月14日2 分雨雨降地上湿 七十七翁 宗詮(花押) 雨降って地上湿う 初代の木津松斎木津宗詮の一行です。わたしから六代まえの宗詮です。茶家としての卜深庵木津家の創始者です。今から168年前の安政2年(1855)81歳で亡くなっています。...
木津宗詮6月8日1 分6月8日 稽古場の床 2江戸時代後期の公家千種有功の「蛍」の詠草を掛けました。床柱に鉄仙と蛍袋を蛇籠。 正三位有功 とふほたる舞 しと はかり見すく すハ おもひなきみの うへにこそ あれ
木津宗詮5月18日1 分5月18日 稽古場の床本日の稽古の床は大徳寺大綱和尚の「待郭公(ほととぎすをまつ)」です。紫蘭、紫露草、雪の下、躑躅、段菊を魚籠に入れました。 待郭公 前大徳大綱 きかはやと 誰もまつらん 郭公 夏立日より 鳴物にして ホトトギスは初夏にインドや中国南部で越冬して初夏になると日本に渡ってくる鳥で...
木津宗詮5月10日1 分芳香みかんの花が 咲いている 思い出の道 丘の道 はるかに見える 青い海 お船がとおく かすんでる 黒い煙を はきながら お船はどこへ 行くのでしょう 波に揺られて 島のかげ 汽笛がぼうと 鳴りました 何時か来た丘 母さんと 一緒に眺めた あの島よ 今日もひとりで 見ていると...