12月25日はクリスマス(キリストのミサ)です。改めてクリスマスについて調べてみました。
クリスマスはカトリックとプロテスタントでイエス・キリストの誕生を祝う祭であり、降誕祭ともいいます。ギリシア語のキリストにあたるクリストスのの頭文字・Xをとって「Xmas」とも書きます。フランス語でで「ノエル」、イタリア語で「ナターレ」ドイツ語で「ワイナハテン」というそうです。なお、ユリウス暦を使用する東方教会では1月7日、アルメニア教会では1月19日です。
キリスト教圏では、クリスマスには主に家族と過ごし、クリスマスツリーの下にプレゼントを置き、プレゼントを贈る気持ちである「愛」の日とされています。
クリスマスは4世紀中葉以降の習慣で、たき火をたき、キャンドルをともし、祭儀的競技が催されるゲルマンの冬至の祭り「ユール」やローマの農耕神の祭り「サトゥルヌス祭」の形式の一部が習合して成立したと考えられています。古くからキャンドルの火でキリストを表す習慣があり、光(神の子)が闇(世界)のなかで輝き、熱と光を与えて消える(犠牲死)ように、過去のキリストの1回限りの生涯を毎年理解する訓練なのだそうです。
クリスマスに飾られるクリスマスツリーはもともとアルプス北方の風習で、中世ドイツの神秘劇でアダムとイヴの物語を演じた際に使用された樹木に由来しています。クリスマスツリーに飾りつけやイルミネーションを施す風習は19世紀以降のアメリカで始まったものだそうです。
サンタクロースは、4世紀の聖人で小アジアはリキュアのミーラの司教ニコライ(ニコラウス)の伝説が起源とされています。名前のおこりはアメリカへのオランダ移民が、ニュー・アムステルダム、現在のニューヨークに定住したとき、最初の教会をサンテ・クラースつまり聖ニコラスに献じたことにはじまります。ニコライは貧しくて苦界に身を沈めようとした3人娘を救うため、夜半にこっそり金袋を娘たちの家の窓から投げ入れ、それが3晩続いて娘たちはそれぞれ十分な金を手にすることができたというもので、このことから三つの金色の玉が質屋の目印の看板となりました。また飢饉に際して、肉不足を補うために3人の子供をある宿屋の亭主が殺してその死体を刻んで塩水の樽の中に漬けて客用のベーコンしてしまいました。ところがそのベーコンが食べられる直前に聖ニコラスが現れ、3人の子供の死体を祝福すると切れ切れになった身体が元どおりになって生き返り危うく救われたことによるともされています。そこでニコライは子供の守護聖人となり、3つの玉は子供たちの頭を表すといいます。クリスマスの贈り物の習慣は、本来、ニコライの祝日である12月6日の前夜、気づかぬように贈り物をする習慣に発し、遠い他人の抱く善意と正しい評価を親が代行することにより、神の摂理を伝える家庭教育に用いられるという意味があるそうです。。サンタクロースが空を飛んでやってくるという考えは、北欧神話の主神オーディンが冬になると空を飛翔して人間の善悪を裁きにやってくるという伝説に基づいています。
北半球ではクリスマスはホワイトであり南半球ではグリーンです。長年の北半球の文化的、経済的優位性から冬の寒さと雪の中での常緑の木やそれによる飾りが珍重されています。クリスマス・ツリーや種々の植物がクリスマスを飾りとして用いられています。ヤドリギは本来ドルイド教で聖なるものとされ、病を治したり、解毒したり、生殖能力を高めたり、悪霊を退けたり、幸運を約束する力があると信じられ、そこからヤドリギを戸口に飾ってそこから入る人の幸運を約束し、やがて若い男女の愛のしるしとしてその下でキスする習慣が生まれました。ヒイラギやツタ、月桂樹もローマの時代からヨーロッパで珍重されアメリカに伝わりました。もともとポインセチアは中央アメリカが原産でその赤い星状の包葉がベスレヘムの星に似ていることから中央アメリカで聖なる飾りとして用いられていたのをメキシコに派遣されたアメリカ大使ポインセットが1829年カリフォルニアに持ち帰って一般的になったそうです。
日本ではキリスト教再渡来した安政3年(1856)に始まったとされています。英語の「クリスマス」は明治初年からで、それまではポルトガル外来語の「ナタル」でした。クリスマスが日本人によって初めて祝われたのは明治8年(1875)で、原胤昭(たねあき)によって銀座に設立された原女学校においてであったといわれているとのことです。その後しだいにキリスト教徒でない一般家庭にも浸透して祝われるようになり、家庭でケーキを食べたりプレゼントを交換するような形をとるようになりました。宗教性は希薄でキリスト教とは無関係な商業的なお祭りになって今日に至っています。写真の掛け軸と水指・茶器・茶碗・茶杓は先日黄梅院で拝見したものです。本来、クリスマスはキリスト教の信仰に端を発したものですが、今はそれを超えて日本の文化として着実に定着しています。なお、キリスト教で最も重要な祭と位置づけられるのはクリスマスではなく「復活祭」だそうです。
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