• 木津宗詮

ナツメ・棗

玉掃刈り来鎌麻呂むろの木と

棗が本とかき掃かむため


 玉掃(たまばはき)を刈って来なさい鎌麻呂(かままろ)よ。むろの木と、棗の木の下を掃除をするために。

 『万葉集』の長意吉麻呂(ながのおきまろ)が宴席で戯れに詠んだ歌です。「玉掃(たまばはき)」は、キク科の高野箒(こうやぼうき)のことで、これで儀式などに使う箒を作りました。

 ナツメ・棗は南ヨーロッパ原産として中国・西アジアへ伝わったとか、中国原産ともいわれるクロウメモドキ科の落葉高木です。『万葉集』にも詠まれていることから、日本には奈良時代以前に渡来したとされています。なお、和名の由来は、芽立ちが遅く夏に入って芽が出ること(夏芽)によります。

 初夏に淡黄色の小さい花を付けます。そして2センチほどの長楕円形でなめらかな果実がなり、1個の種子が入っています。熟すと赤黒くなり、乾燥してしわしわになります。乾燥させて干しなつめとして菓子の材料や生薬としても用いられます。生薬名をタイソウ(大棗)といい、風邪薬や健胃消化薬などの漢方処方に配剤されます。面白いことに、葉を噛むと甘味を感じなくなります。葉に含まれる成分が舌にある甘味センサーをブロックするためだそうです。





 甲が少し盛り上がり,底部になるにしたがって細くなった形の茶器の棗は、このナツメの果実の形に似ていることからの名称です。




 今年も青い果実が実りました。成熟する11月ころには鳥たちの何よりのご馳走になります。





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