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今年の名残り

執筆者の写真: 木津宗詮木津宗詮

今年の干支の名残りです。3代聿斎宗泉の好みになる大森長兵衛作「南鐐波地紋丸釜」です。銀の板を型に当てて木槌で打ち出して丸くしたものを二つ合わせ、波の地紋を彫り、兎の釻次をつけた釜です。波に兎は謡曲の「竹生島」に

緑樹影沈んで魚木に登る気色あり 月海上に浮かんでは兎も波を奔(はし)るか、面白の島の景色や

と神秘的で美しい情景が謡われています。それをモチーフにした釜です。なお、炉縁は18世紀のフランスの額縁を解体して東京のギャラリーのオーナーの社中が造らせたものです。


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