大峰山徒拝略記
- 木津宗詮
- 2019年6月26日
- 読了時間: 3分
聖護院の不動堂で勤行ののち、列だてしてバスに移動して乗車し、途中、近鉄橿原神宮駅集合の人たちと合流して一路洞川(どろがわ)に向かいます。洞川でバスを下車し清浄大橋を渡り、「一糸菩提之峯」の額を掲げる鳥居で勤行をし、行列を整えいよいよ入山・徒拝が始まります。女人結界の結界門前で山上大峰山寺本堂まで七キロ、3時間のコースとなります。途中、「お助け水」で一休みして、洞辻茶屋で出迎え不動明王・役行者にお勤めをしました。ここで初参加の修行者「新客」は表の行場に向かいます。荷物と杖を古参に託し、古参は別ルートで新客たちの荷物を全て運んでくれます。そして最初の行場である「鐘掛岩(かねかけいわ)」。断崖絶壁をよじ登り、最後の岩が突き出た難所を鉄の鎖を使って上で待機している先達の補助を得ながら登っていきます。先達の指示に従い手足を動かしていきます。その指示の通りでないと決して登ることのできない行場です。おかげで全員難なく登りきることができました。 次なる行場は標高1650メートルの「西の覗(のぞ)き」。この西の覗きは、「日本三大荒行」の一つで約100mの垂直の絶壁で、頂上の覗き岩というところで、2つの輪が付いた縄を背中から両腕に通し、その縄を1人の先達がしっかり握り、そして二人の先達がそれぞれ片足を両手でつかみ、覗き岩からそそり立つ絶壁から身をのり出して仏の世界を覗く修行です。上半身逆さ吊りになる命がけの修行です。そして足をつかんだ先達が、 「親孝行するか?」 「仕事に励むか?」 「信心するか?」な 「家族を大切にするか?」 それに対して大声で「はい!」と答えます。そして「声が小さい!」といってより下にずり下ろされます。そして「はい」という絶叫が響き渡りようやく引き上げてもらいます。下には不動明王の祠があり、身を乗り出せば出すほどその祠が見えるのです。この行は自らの仏性に気付き、即身即仏を感じ取り、身は朽ちても精神だけでもこの世にとどめ、未来に現れる弥勒菩薩に遇う事を願う行で「捨身の行」というそうです。 西の覗きからさらに進み宿坊喜蔵院にようやく到着し小休止ののち、荷物と杖を預けて裏行場の修行に向かいます。まず「不動登岩」。鐘釣岩に負けず劣らずの断崖絶壁をよじ登り、狭くて暗く足元がとても滑る岩の間を通る「胎内くぐり」。これは母親の胎内から出て行く産道をあらわしていて、ここをくぐり抜けることにより生まれ変わるという擬似体験です。そしてかつて行われていた「東の覗き」の横を過ぎ、直角の絶壁を登って岩の頂に上がる「蟻の戸渡り」。先達の足取りを真似ないとうまく登れません。最後が三角岩のてっぺんを両手でつかみ、命綱もなしで断崖絶壁を半周する行の「平等岩」。先達の指導をよく聞いて足を運ばないと断崖絶壁から真っ逆さまに落ちてしまいます。裏行場場最大の難行です。むかしは後ろ手で回転したそうです。なんと恐ろしい! おかげさまで一同無事に裏行場の修行を終えて、大峰山寺の本堂で御世代わりを記念して御開帳になった本尊蔵王権現と役行者の勤行。引き続き「採燈護摩(さいとうごま)」が執り行われました。 その後、宿坊に戻り入浴、夕食、茶会で9時消灯。 翌朝は3時半起床。4時朝食ののち、宿坊本尊の勤行。引き続き大峰山寺の勤行ののち「小篠の宿」を目指し阿弥陀森を通過して下山し柏木の里の聖護院の定宿朝日館で入浴して直会でした。直会の席では諸先輩を差し置いてご指名ということで謝辞を述べさせていただきました。 西の覗きでの逆さ吊りも裏行場の平等岩の岩廻りも約100mの断崖絶壁での修行です。ここで死を疑似体験することで新たな命を吹き込んで生まれ変わるという意味があるのだそうです。 この修行のすごさは経験した者しか語ることのできないものです! それにしてもこの上もなく充実した二日間でした! これも諸先達始め同行のみなさんのお陰です! 心より御礼申し上げます‼︎















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