擇友千歳古(ともをせんざいのいにしえにえらぶ)

  ある時節会の晩です。太政官の村田右大史、その位階は正五位下、官は右大史、御所の

  方では太政官に勤め、一条家では御近習を勤めておる、兼刑部大条丞です。それが、大

  納言、中納言、参議の列座しておる席で、装束を着たままで、灯芯をかき立てなければ

  ならぬ、そのかき立てる時に、うっかりして落として、二条さんの装束の膝に油がかか

  った。そこで「恐れ入りました」と両手をついて謝罪った、それはそこで謝罪らぬで、

  (ついてきている)諸大夫へかかって(会って)、「唯今疎忽なことをいたしました、

  何れおことわりにでますけれども、どうぞ今晩のところは宜しゅう願います」と言え

  ば、それで宜かったけれども、大臣に向かって卑しい者から声をかけては相済まぬ。宜

  しくないので、右大史を辞すべしということになって、太政官に出られないようになっ