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春日若宮おん祭

雲月画面箱持(めんばこもち)図です。雲月なる絵師の詳細は不明です。

能楽「翁」の御神体である面を納める箱を捧げ持つ役を「面箱持ち」といいます。

翁には、演劇としてのストーリーはなく、古来「能にして能に非ず」といわれ、天下泰平・五穀豊穣を祈願する神事ともいうべき儀式芸能です。

翁の中心になっているのは、白・黒二人の老人の舞です。まず千歳(せんざい)が舞台を清める舞をします。シテが白式尉(はくしきじょう)の面をかけて天下泰平・国土安穏を祈る白い翁となり、次いで三番叟(さんばそう)が再び舞台を清めるための「揉之段(もみのだん)」を舞い、引き続き黒色尉(こくしきじょう)の面をかけて五穀豊穣を祈る黒い翁となって祝福の舞である「鈴之段(すずのだん)」を舞います。

今日は春日大社の御祭神の御子神である若宮の「おん祭」です。春日野の御旅所(おたびしょ)に御神霊をお迎えして五穀豊穣、万民安楽を祈り盛大な祭が終日行われます。

一の鳥居の内、南側の壇上に「影向の松(ようごうのまつ)」があります。この松は能舞台の鏡板(かがみいた)に描かれている松といわれ、春日大明神が翁の姿で万歳楽を舞われたという由緒ある場所です。 ここを通過する陪従(べいじゅう)・細男(せいのお)・猿楽(さるがく)・田楽(でんがく)は各々芸能の一節や、所定の舞を演じ、引き続きお旅所で各種神事芸能が奉納されます。 

 

午前0時、若宮本殿よりお旅所の行宮(あんぐう)へと深夜御神霊が遷られます。これを「遷幸(せんこう)の儀」といいます。参道は皆明かりを消して謹慎し、浄闇(じょうあん)の中で執り行われます。大松明が道を清め、沈香の香りが漂う中、御神霊を榊の枝を十重二十重に囲んで間断なく「ヲー、ヲー」という警蹕(けいひつ)の声を発して遷されます。また、楽人たちが道楽(みちがく)の慶雲楽(きょううんらく)を奏でてお供をします。「遷幸の儀」と「還幸(かんこう)」の儀の間は24時間以内でなければならないことになっています。還幸の儀は17日の午後11時ころから開始され、18日の午前0時までには若宮神社へ還られます。還幸の儀の道楽はテンポのやや早い軽やかな「還城楽(けんじょうらく)」が奏されます。

神代のむかしに戻ったような感動を覚える荘厳かつ神秘的な祭です。例年、遷幸の儀に供奉し、御旅所での「暁祭(あかつきさい)」に参列しますが、今年は都合でお参りできません。まことに恐れ多いことですが、東京より遥拝させていただきます。


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