無事是貴人

本日は東京稽古場の納会。床に武者小路千家三代真伯の高弟安田是誰(ぜすい)一行「無事是貴人」を掛けました。花は初嵐椿と神楽椿・灯台躑躅(どうだんつつじ)を竹一重切花入に入れました。なお、「九ゝ翁」は「九十九歳」でなく、「八十一歳」のことでかけ算です。是誰はこの四年後に八十五歳でなくなります。最晩年の作で誠に力強い筆跡です。

安田是誰は鍛冶屋の総元締めであった日本鍛冶惣匠三品家の家老で、売茶翁とも懇意な間柄の侘茶人です。不時の茶事で床に鍬を飾った逸話が伝えられています。武士の魂が「刀」なら、鍛冶屋の魂は「鍬」だという心意気です。

悟りの境涯をいった禅語を説明することは到底できません。ものの本によると、無事是貴人の無事とは、普段つかう「無事でなにより」とか「平穏無事」ではなく、救いや悟りを外に求めず、何の計らいもなく、ありのままの本来の自己に立ちかえった安らぎ境地のこと。その境地にいる人が悟りを得た人であり仏であるということだそうです。

茶の湯では、一年の最後の稽古には「無事」とか「無事是貴人」の語の書かれた軸ををしばしば掛けます。私たちが普段使う意味で、一年間の稽古が無事に終えることができたという意味で使います。

他の稽古場の納会はまだまだですが、とりあえずこのこの稽古場は今日が今年最後ということで床に掛けました。





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