『目利きー谷松屋八代戸田露吟覚書』

ようやく今月末に、河原書店から『目利きー谷松屋八代戸田露吟覚書』が出版されます。カバーの見本が本日出来上がりました。なおこれは仮の画像です。『戸田露吟覚書』は、露吟が子孫の教訓のために認めた貴重な書です。

露吟が生きた大阪の伏見町は、江戸時代、長崎貿易を通じて舶載された「唐物」や高級茶道具を一手に扱う町でした。当時の伏見町は加賀屋・広島屋・谷松屋三軒とその分家・別家のみの「唐物屋」で構成されていました。ところが明治維新により、廃藩置県・版籍奉還や積極的な開花政策等の政策により、明治初年はかつてない混乱期となりました。道具界に関わらず茶道界はじめ仏教界等伝統に関わる業界は未曾有の困窮に陥りました。そうした中、伏見町の唐物屋は露吟の谷松屋以外はすべて廃業してしまい、今日、谷松屋戸田商店のみが現存しています。露吟は幕末明治の苦しい時代を耐え、茶道具商としてただひたすら歩き続け、旧幕時代から唯一伏見町に残る唐物商として谷松屋の暖簾を守り、また押しも押されもしない評価を得たのです。

今回の新型コロナ禍はある意味露吟の生きた時代同様、かつてない価値観の転換期であり、伝統に関わる者にとって未曾有の困難な時代に向かっていくことが予測されます。『戸田露吟覚書』はそうした時代に生きる者にとって多くの教訓を示してくれるのではないかと思っています。この私の思いを理解してくれた河原書店社長小林洋一氏が「後世に残すべき本を」との強い志のもと本書の出版を快く承諾くださり現在に至っています。

なにより露吟の子孫である戸田博・戸田善久両氏がその公開を快諾してくださ