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笑顔くづるる

執筆者の写真: 木津宗詮木津宗詮

本日の稽古の掛物も今年の干支の名残です。3代聿斎宗泉の丑画讃です。


宝引や笑顔くつゝる子供等の


乙丑の年は大正14年(1925)です。今年は辛丑 で96年前の正月の試筆です。郷土玩具の牛車が描かれ、聿斎の発句が認められています。

かつては牛は食肉としてではなく、農耕はじめ、米俵や千両箱を運搬するのに欠かせない動物でした。農家では牛を単なる家畜として飼育したのではなく、家族同様の扱いをして、人が住居する家の中で飼われていました。そして牛は農耕神の使いとされ、豊作のシンボルで、牛には豊かさへの願いが託されました。そうしたことから各地で牛に関する玩具が作られました。

聿斎はこの玩具を宝物にみたて、楽しく牛車を引いて遊んでいる子供たちを眺めて笑顔がくずれる、そんな初春の情景を詠んでいます。




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