江戸中期の公家烏丸光榮(からすまる みつひで)の二首懐紙「残暑」と「槿花(あさがお)」を掛けました。花は白花秋海棠を先日舞鶴で求めたガラスの器に入れました。



秋日同詠二首和歌
正二位藤原光栄 残暑 はつかせははつかに過て おきの葉のそよすゝしとも しらぬ秋かな 槿花 葉かくれもしほるゝいろや うつる日を露のかことの あさかほのはな

秋の初風はほんの暫くの間なのだが、荻の葉すれの音がそよそよと涼しく吹いたとしても、秋がやって来たのを知ることはないだろう。 葉に隠れて見えなくなって華やかな色が萎れて褪せていく日に、ほんの申し訳程度の露をおいた朝顔の花だこと。
「はつか」はほんのしばらくの間、「かごと」とはしるしだけとか、ほんの申し訳程度にという意味です。
烏丸光榮は累進して、正二位内大臣に至り、烏丸家で内大臣にまで至ったのはこの光榮だけです。和歌に巧みで、霊元天皇をはじめ中院通躬や武者小路実陰に和歌を師事しました。その門下には有栖川宮職仁親王や桜町天皇がいます。また三上藩主である遠藤胤忠にも古今伝授を授け、まことに優れた歌人でした。 ちなみに気象庁では、残暑の定義を立秋から秋分までの間の暑さとしています。昼間は30度を超える厳しい残暑が続いています。今しばらく厳しい暑さが続きそうです。

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