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12月21日 稽古場の床2

執筆者の写真: 木津宗詮木津宗詮

小間の床は澄子先代家元夫人の色紙「merry christmas」。西洋柊をコンプラ瓶に入れました。本来キリスト教の行事ですが、今や日本の伝統行事になりました。

「メリークリスマス」とは「楽しいクリスマスを」や「クリスマスおめでとう」という意味で、クリスマスという日をみんなで楽しもうと伝え合う、明るい挨拶なんです。「メリー」は「楽しい・陽気な」という意味の言葉でキリスト教的・宗教的な意味合いはありません。「クリスマス」は、「Christ (キリスト)」と「mas (礼拝=ミサ)」が合わさって生まれた言葉で、キリストが生まれた日(降誕祭)を指します。日本語では「キリストを祝うミサ」と意味になります。それが次第に縮まって「Christmas(クリスマス)」と呼ばれるようになったそうです。クリスマスとは、イエス・キリストの誕生を祝福する日(降誕祭)のことで、決してキリストの誕生日ではありません。

クリスマス・イブは、「イブ」という言葉「Eveninng(夜)」からきています。クリスマス・イブは「クリスマスの前夜」ではなく、「クリスマス当日の夜」のことです。キリスト教の「教会暦」と現代の暦では、一日の終わりとはじまりの考え方が異なります。教会暦では、新しい一日は日没からはじまると考えられています。そのため、12月24日の日没から「クリスマス」がはじまり、25日の日没までが「クリスマス当日」となるのです。

日付の12月25は、古代ローマの「ローマ暦」では冬至の日とされていました。当時ローマで信仰されていたミトラ教では、12月25日は「不滅の太陽が生まれる日」とされ、太陽神ミトラスを祝う冬至の祭でした。またドイツや北欧のキリスト教以前のゲルマン人の冬至祭がなどが影響してキリスト教の降誕祭の日付決定に影響したとされています。現在、グレゴリオ暦を用いているカトリック、聖公会、ルーテル教会、正教会などでは毎年12月25日に祝われています。ユリウス暦を教会暦として使用しているギリシャ正教(東方正教会)のエルサレム総主教庁、ロシア正教会、セルビア正教会、ウクライナ正教会、グルジア正教会などでは、ユリウス暦の12月25日(グレゴリオ暦1月7日)に降誕祭を祝つています。なお例外的に、アルメニア使徒教会では教会暦上の1月6日に祝われているとのことです。

さてクリスマスといえば、サンタクロースやクリスマスプレゼント、クリスマスツリー、クリスマスケーキが定番です。子どもたちにプレゼントを届けにやってくるサンタクロースは実在の人物がもでるになっています。その人物は、ギリシャ人司教の聖ニコラウスという人で、貧しい人々を助け、恵みを与えたという逸話から「サンタクロースがプレゼントを贈ってくれる」という習慣が生まれたそうです。

クリスマスにプレゼントを贈る習慣の起源は、キリストが生まれた日に「東方の三賢人」と呼ばれる占星術学者たちが贈り物を持ってやってきたというエピソードに由来するといわれていています。

クリスマスツリーは、もゲルマン民族がおこなっていた冬至の祭り(ユール)が起源だといわれています。この祭りでは木を切って家へ運ぶ習わしがあり、持ち帰った木の幹を燃やして、夜の時間が最も長い冬至の間、太陽の光を想ったのだそうです。のちにその習慣が他の地域にも伝わり、ツリーに装飾したり、明かりを灯したりして、家に飾られるようになりました。

メリー・クリスマス(Merry Christmas)という言葉は、現在アメリカではポリティカル・コレクトネス(人種・宗教・性別などの違いによる偏見・差別を含まない、中立的な表現や用語を用いること)の影響で、「ハッピー・ホリデーズ(Happy Holidays)」に言い換えが進められています。そうした中、ドナルド・トランプは2016年の選挙戦で「大統領になったら、メリークリスマスと言う」を公約に掲げているそうです。


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