年内最後の稽古です。東京の稽古場の床に幕末の大徳寺の拙叟和尚の「無事日月長」を掛けました。床柱に粉引瓢花入に侘助と臘梅です。拙叟お相は木津家二代得浅斎の参禅の師にあたり、わが家とはは格別縁の深い方です。
茶の湯では一年の終わりに「今年も平穏に無事に終えることができた」という感謝の気持ちで「無事」という掛物をよく使います。
禅ではいかなる境涯に置かれようとも、あれこれと心を労したり、いたずらに善だの悪だの、美だの醜だの、悟りだ迷いだのと無駄な考えや分別を捨て、見るがまま、聞くがまま、あるがままという境地のことをいうそうです。「日月長」は非常に穏やかな、のんびりとした時間がいつまでも流れているということです。
今年もいろんなことがありましたが、多くのみなさんのおかげで「無事」に稽古仕舞いができるという安堵の気持ちを込めて、今年最後の稽古に臨みます。
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