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4月15日 稽古場の床

執筆者の写真: 木津宗詮木津宗詮

大綱和尚の詠草「暁鐘」を掛けました。花は射干(シャガ)と蔓桔梗、利休梅を伊賀焼耳付花入に入れました。


 暁鐘

        大綱

聞なれて  今ハおとろく      ゆめもなし  くもの林の     あかつきの         かね

暁(あかつき)は「あかとき」が転じた語で、曙光がさす時間のことです。明るくなり始める時で、「しののめ(東雲)」や「あけぼの(曙)」よりはやい時間をいいます。「夜半」から朝に至る最初の時間であり、男女が別れるために起き出す時間でもあります。そこで「暁の鐘」は恋人と別れる時刻を告げる鐘で、「入相の鐘」は恋人に逢う時を知らせる音です。「くものはやし(雲の林)」とは、雲がむらがっているさまを林に見立てていう語のことです。「夢」には迷いや煩悩という意味があります。 朝夕の寺院の鐘の音は、時刻を知らせると共に、衆生の迷い、 種々の煩悩や悪業から離れるように戒める音でもあります。俗世の煩悩に執着し、無常を悟らず迷いの世界に陥っている人を目覚めさせる音でもあるのです。無明長夜の世界から、真に目覚め、ようやく夜が明けて悟りの境地にいたることができます。このように暁の鐘の音にはまことに意味深い宗教的な意味合いがあります。 大綱和尚は、俗世を離れ仏道修行を重ねたおかげで、今となっては日々聞き慣れた雲の林から響く暁の鐘の音が、迷いの心を目覚めさせることも無くなった、そうした安心の心を詠んでいるのです。

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