本日は釈迦の誕生日である灌仏会・花祭りにちなみ、床に拙叟宗益讃になる狩野永岳画誕仏図掛けました。時代の華籠に種々の椿の花を載せました。
天上有星皆向北
人間無水不朝東
人間天上長如是
成仏渡生此脱空
前大徳拙叟盂盥焚拝題(印)
天上に星有り皆北を向く
人間水として東に朝せざるものなし
人間天上長きことかくの如し
成仏渡生(どせい)この脱空(だつくう)
前大徳拙叟盂盥焚拝(うかんふんはい)題(印)
四月八日釈迦が「天上天下唯我独尊」といってから、天上界の数多の星はみな北極星に向かって回っています。多くの人々も釈迦の教えを求めて帰依しています。地上の人間界では流れる川は東に向かって流れない川はありません。それは仏法がはるか天竺から東に向かい中国、日本に伝わっきたことと同じことです。そして人々は釈迦の教えに従い仏の道を歩まぬ者もいないのです。このように人間界の川の流れは常に東を求めてきました。そして天上界の星もとこしなえに北極星に向かってきました。悠久の歴史の中で、人々も釈迦への求法の志を持ち続けてきたのです。釈迦は志を立て、仏としての自己を自覚して、苦界に沈む人々を救います。この果てしもない空しさから人々を克服しようとしているのです。
拙叟は「盂盥焚拝題(うかんふんはいだい)」と署名しています。盂盥は、盂は鉢とか椀、盥はたらいとかそそぐを意味します。草花で飾った花御堂の中で、誕生仏像を中央へ安置し甘茶を満たした灌仏桶のことみ表しています。拙叟は自身がその中で身を清めて香を焚いて着讃したということです。
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