4月9日 稽古場の床

大徳寺の大綱宗彦の七言絶句「偶成(ぐうせい)」を床に掛けました。花は山吹、花入は今井政之の瓢花入、薄板はミャンマー土産です。

  偶成 烟霞深擁北山岑 不用春光向外尋 柳暗花明二三月 黄鴬日々伴吾吟    空花道人(印)  偶成 烟霞(えんか)深く北山(ほくざん)の岑(みね)擁(よう)す 春光向外(こうがい)に尋るを用いず 柳は暗く花は明るく二三月(にさんげつ) 黄鴬(こうおう)は日々吾に伴い吟ず

煙の様な霞が北山の峰を包み、春の暖かい光をわざわざ外にもとめる必要はない。春も二月、三月となると野が花や緑に満ちた美しい景色にあふれる。鴬は毎日わたしと一緒に歌う。 「柳暗」は柳が茂って、その陰が薄暗くなることで、「花明」は花が咲いて明るい色が満ちあふれることです。そこで春の美しい景色を表現したもののことをいいます。南宋の詩人陸游(りくゆう)の「遊山西村(さんせいのむらにあそぶ)」に「柳暗花明又一村(やなぎくらくはなあかるくまたいっそんあり))」の句は有名です。 黄鴬は高麗鴬(こうらいうぐいす)のことで、中国や朝鮮半島・ロシア・東南アジアに分布し、稀に渡りの途中で日本に飛来することのある鳥です。なお、題の「偶成」とは、漢詩でふとうきあがった思いを詠んだ詩のことをいいます。


今まさに春たけなわです。ここ数日は初夏を思わせる暑さ。朝夕はまだまだ冷んやりとしますが昼間の陽気は春そのものです。今年は一旦暖かくなりましたが、再び冬のような寒い日が続き桜も例年に比べて開花の期間が格別長いようです。鴨川の柳も青々と芽吹き、桜と並び春を謳歌しています。京都を囲む山々には春霞がかかり、私の住む吉田山の鶯も春の陽気に浮かれたかのように日々歌を競い合っています。

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