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5月23日 稽古場の床

執筆者の写真: 木津宗詮木津宗詮

掛物は大徳寺大綱和尚の待郭公(ほととぎす)。牡丹を青磁花入に入れました。


待郭公

きかはやと

  誰もまつらむ

       郭公 夏立つ日より 鳴物にして

古来、その年に初めて聞くホトトギスの鳴き声を特に「初音」といって珍重しています。『枕草子』ではホトトギスの初音を人より早く聞こうと夜を徹して待つというくだりもあります。 ホトトギスは、杜宇、杜鵑、時鳥、子規、不如帰、蜀魂、田鵑などたくさんの異名があります。ウグイスの巣に自分の卵を産んで育てさせる”托卵''の習性で知られています。5月ごろ、インドや中国南部から日本まで渡ってきます。ツバメなど他の渡り鳥よりも渡来時期が遅く、托卵の対象としてウグイスの繁殖が始まるのにあわせ、毛虫類を餌とするため、早春に渡来すると餌とする毛虫がいないことによるようです。 けたたましい鳴声で、「キョッキョッ キョキョキョキョ!」とか、「ホ・ト・…・ト・ギ・ス」とも聞こえ、ホトトギスの名前の由来もこの鳴声によるという説があります。この鳴き声の聞きなしとして「本尊掛けたか」や「特許許可局」や「テッペンカケタカ」が知られています。 なお、ホトトギスは夏の鳥で、旧暦4月立夏にやってくる鳥としていました。この和歌もそのことを踏まえたものです。なお、今年の立夏は5月5日(旧暦4月5日)でした。実際、ホトトギスは人の作った暦に合わせてやってくるのではありません。旧暦3月春にやってきて鳴くこともあります。それを和歌では、ホトトギスが耐えかねて思わず発する声を「忍び音」としています。人間の都合に合わせるホトトギスにとっては迷惑なことですね。

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