5月24日 稽古場の床

日野資枝の詠草「更衣(こうい)」を掛け、丹波焼耳付花入に都忘れ、玉紫陽花、姫空木を入れました。


 夏百首中

    更衣

             資枝

花満のなこりもけさは夏にきて

うすさおほゆるせみの羽ころも


古く宮中では旧暦4月朔日(1日)と10月朔日(1日)を更衣の日としました。一年を冬と夏に大きく分けて季節に合った衣装をはじめ調度品等を改めました。のち民間にもこの風が浸透した。現代では、6月1日に学校や会社などで制服を夏服に替え、10月1日に冬服に替えています

宮中では4月1日から冬の小袖をやめて袷(あわせ)にかえ、寒い時は下に白小袖である白重(しらがさね)を用いました。5月五日から帷子(かたびら)を着、涼しい時は一重とよばれる下衣を着、8月15日から生絹(すずし)にかえ、9月1日から袷を着ました。同9日から綿入れ、10月1日から練絹(ねりぎぬ)に着かえることを年中行事としました。

民間では室町幕府の武家故実を引き継いだ徳川幕府の定めたものが行われています。6月は裏がなくて透けない単(ひとえ)、7月と8月は裏がなくて透けている薄物、9月は単衣、10月から5月は裏が付いている袷(あわせ)です。

神宮では5月と10月の14日に神御衣祭という祭が行われています。内宮と、第一の別宮で天照大御神の荒御魂を祀る荒祭宮に絹である和妙(にぎたえ)(絹)、麻である荒妙(あらたえ)の衣、糸、針などの御料を交換します。なお、外宮やその他の宮社では行われません。下鴨神社(賀茂御祖神社)や上賀茂神社(賀茂別雷神社)・太宰府天満宮では更衣祭、熱田神宮では御衣(おんぞ)祭、厳島神社では御神衣献上式(ごしんいけんじょうしき)等の祭が古来の宮中同様に神の更衣が催されています。

近頃は温暖化により、これまでの季節より早く暑い日がやってきます。気温や体調に合わせて装いを決める傾向にあります。ゴールデンウイークに単を、7月になる前から薄物を着る人がいます。そういうことから時代に即したルールが必要であるように思われます。

衣類に限らず秋から春まで用いた障子や襖、段通などを、夏を迎えると簀戸(すど)、網代に組んだ籐の敷物に替えて夏の風情に入れ替わります。日本には春夏秋冬の四季があり、特に夏の蒸し暑さは格別です。夏を快適に暮らすための工夫が衣服や調度を改めることでした。まさしく利休居士の「夏は涼しく」の教えです。

閲覧数:27回0件のコメント

最新記事

すべて表示

前出の通り、松斎(歓深院降龍)が安政2年(1855)の元旦に亡くなり、2月5日に得浅斎は喪主として本葬を勤めている(『鐘奇斎日々雑記』)。この時、得浅斎は36歳の働き盛りであった。同十二日には恒例の利休忌を卜深庵で勤めている。得浅斎は喪中にも関わらず、流祖利休の追善の茶会を催している。 そしてこの時期の得浅斎は前後して多くの不幸に見舞われている。同年3月2日には義母の柳(教深院貞寿)が松斎の後を追