7月3日 稽古場の床

妙心寺690世・妙心寺派34代管長嶺興嶽老師の船中人物画賛を床に掛け、かつて舎弟と共に訪れたタイのカンチャナブリーで求めた籠に木槿と夾竹桃・半夏生を入れました。



風鳴南岸葉

月照一孤舟

  徳源松江叟(印)



風は岸辺の葦の葉をサラサラと音をたてて吹いています。煌々と涼しい月明かりは一艘の粗末な船を照らしています。一体この老人は水面に何を見つめているのでしょう。



ちなみにカンチャナブリーはタイ西部、ミャンマーとの国境近くにある町です。1957年のアカデミー賞を受賞した映画『戦場にかける橋」の舞台となった町です。第二次大戦中、泰緬鉄道敷設に携わったイギリス人捕虜と、それを指揮した日本人大佐との対立と交流を描いた映画です。現在もカンチャナブリーはタイを代表する観光地として人気を集めています。

この籠は、『戦場にかける橋」で建設された橋のモデルとなったクウェー川鉄橋の近くで求めて花入に見立てたものです。バンコクに帰る列車の発車に間に合わず、同行の友人とホームを離れた列車のデッキに飛び乗り、かろうじて無事にバンコクな戻れたというハプニングがありました。今となっては懐かしい思い出です。この花入にはそうしたタイの思い出がこもっています。