東園家14代当主で宮内庁掌典長や神社本庁統理などを務めた東園基文(ひがしそのもとふみ)の命銘になる秘蔵の茶杓「あけほの」です。平成5年の第61回式年遷宮の記念の品。材の檜は前回の第60回の式年遷宮で架けられた伊勢の神宮の宇治橋の古材が用いられています。
東園基文は伊達政宗の血を引く伊達邦宗伯爵(旧仙台藩主)の三男として生まれ、東園基光子爵の相続人となりました。佐和子夫人は、旧宮家の北白川宮成久王の第二王女で明治天皇の孫にあたります。学習院を経て北海道帝国大学農学部に進学したました。同大学では馬術部に所属し、第3回全日本学生馬術選手権大会で優勝したほか、第2代主将を務めました。大学卒業後、東宮傅育官任官。同年大日本帝国陸軍騎兵少尉。皇后宮事務官。戦後は宮内府事務官兼侍従兼東宮侍従。掌典長を歴任し、前天皇の即位の礼や大嘗祭に奉仕しました。のちに神社本庁統理、伊勢神宮崇敬会会長、神社本庁顧問に就任し、平成19年に96歳で亡くなっています。
この茶杓はかつて賢所で掌典補として奉仕していた友人を通じて書付してもらったものです。まことに流麗な筆跡で、いかにも宮廷文化を体現されていた方であると感服させられます。本当にお見事です!
今回の参宮の記念に先日の稽古で使用し、みなさんに大変ご満足いただきました。

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