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松風寒し

月色満軒白   琴聲宜夜闌    飂々青絲上   静聴松風寒 月色軒に満ちて白し   琴聲(きんせい)宜(よろ)しく夜闌(たけなわ)  飂々(りゅうりゅう)は青絲(せいし)の上    静かに聴く松風寒し

月明かりが軒を白く煌々と照らしています。どこからともなく琴の音が微かに響き渡り、夜は更けて今まさにたけなわです。そよ風が琴糸の上をかすかに吹いています。静かにその琴の音を聞いていると、松の枝から下りてくる秋風は早寒い風。 江戸時代の絵師土佐光孚(みつざね)という絵師の月下琴自画賛です。 昼間の残暑はまだまだ厳しいものがありますが、朝夕がだいぶ涼しくなってきました。まさにこのような風情になってきました。昔の人は現在人のように寂しいという思いより、ようやく暑い夏が終わり凌ぎやすい好季の訪れと喜びました。そしてその想いにはホッと一息つけるというものだったそうです。そうした想いが和歌などに詠まれています。



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