今年も寅の正刻(午前4時)に若水を汲み、神棚はじめ祖霊舎に供え、茶室の釜の湯を改め、炉中の埋火をおこして炭を足しました。そして家族一同雑煮で祝い、新年恒例の大福茶をいただきました。
床には初代宗詮の烏画讃「大福やいたゝく手にも神烏」、青竹花入に綰柳と紅白椿、交趾麒麟香合。釜と炉縁は除夜釜同様。唐銅釣瓶水指、直斎好みで富士山の蔦で作られた町棗、茶碗は武者小路千家先先代愈好斎が還暦の時に手作りした赤茶碗「花垣」、茶杓は木津家に入家した時に随縁斎若宗匠からお祝いにいただいた初代宗詮作竹茶杓「祝」を用いました。この茶杓は初代が喜寿の時の記念の作です。社中の八木さん(京都鶴屋)の今年のお菓子「寅」です。
本日、還暦をめでたく迎えることができました。昔は「人生五十年」といって還暦を迎えることは大変稀であったようです。そういう意味ではおまけの人生といえます。そこで腰張も暮れに表具師の石澤さんに天保11年の伊勢暦に張り替えてもらいました。還暦という事で振り出しに戻り、今日から二度目の人生のスタートと思っています。そうしたことから白の紙である「西の内」から再生紙である反故張に張り替えました。かつて息子と富士山に登りました。気圧の変化で持病のメニユエルの発作を起こさないようにゆっくり、ゆっくり一歩ずつ登った時を忘れないようにとの思いでこの町棗を使いました。
さあ、今日から新たな人生の始まりという思いで頑張っていきます!
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