南極老人星(カノープス:りゅうこつ座α星)を神格化した道教の神を南極老人といいます。南極老人星は南半球では容易に観測できますが、日本では東北地方南部より南の地域でしか見ることはできない星だそうです。地表からほんの少ししか上がらず見ることが困難です。そこでこの星を見た者は長寿になるという伝説も生まれ、南極老人星、単に南極星・老人星、寿星とも言いいます。古くから、南極老人星は戦乱の際には隠れ、天下泰平のときにしか姿を見せないという信仰が存在し、『史記』天文書や『晋書』天文志、『漢書』などには、皇帝たちが秋分の日に都の南で観測する慣わしがあったことが記されています。日本では七福神の寿老人のモデルとされています。
大綱和尚の寿老人画賛です。

清世垂祥瑞
輝々南極天
跨驢成底事
到慶施亀年
前大徳大綱宗彦敬題(印)
清世は祥瑞を垂れ
輝々として南極天
驢に跨がり底事を成す
慶に到り亀年を施す
輝々として照り輝く南極天(星)は、清らかな世に瑞祥、すなわちめでたいことが起こるという前兆を起こします。その姿はロバに跨がり何事をするのだろう。めでたい時節に巡り会いみんなに幸福をもたらします。
結構ずくめのすばらしい神様です。出現していただくには、まず清らかな世にならないとだめです。今しばらくはお目にかかることができそうにないですね。
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