袖の下

かつてインドネシアのプラオバンガン島を訪れた時に海岸でひらった木彫です。ジャカルタの詳しい人たちに尋ねたところわからないとのことでした。ワニにも見えるし龍だとか獅子だとか、船の舳先だとか建物の一部分ではないかなど。国立民族学博物館に問い合わせましたが、そちらでも不明でした。

出国の際に没収されるかもしれないと言われましたが、お金を出して求めたのでもないので没収されてもいいので持ち帰ることにしました。案の定、出国にあたりセキュリティでひっかかりました。係官にキャリーバッグを開けるように言われ木彫を見せたところやはりダメとのことでした。ところがその係官が低い姿勢になり小声で何か言い始めました。そこでわたしも体を屈めて彼の言っていることを聞くと、どうもお金を要求しているようでした。2ミリオンと。そして事務所らしきところに連れていかれ、別の係官が現れ、ボスとのことでした。そして5ミリオンと今度は金額を上げて出すように要求してきました。わたしは財布の中を見せて4ミリオンしかないというとそのお金を財布から抜き取り笑いながら握手をされ、最初の係官に連れられて無罪放免になりました。まさに袖の下です。

「袖の下」と同じような言葉に、「魚心あれば水心あり」とか「地獄の沙汰も金次第」というのがあります。日本にもこうした言葉があるように、こうしたことが昔からありました。ただし今はそんなことはありません。あったとしてもそれは例外中の例外です。

決して私はこの係官やこの国を馬鹿にする気はありません。長年の慣習でこのようなことが行われているのであり、かつてわが国も同様の時代がありそうした風習が今は稀になっただけのことだと思っています。

この国もいずれそうしたことがどんどんなくなっていくはずです。今の日本を当たり前のことだと思っていますが、世の中には思いもよらないことがいくらでもあります。6日間の貴重な体験をを活かしていかなければと思っています。この木彫は貴重なお土産になりました。