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鶴の子

執筆者の写真: 木津宗詮木津宗詮

 大綱が「鶴の子」と銘をつけた呉須茶碗です。

 呉須とは中国の江西・広東地方の民窯で、明末・清初にかけて大量に焼かれた粗製の磁器をいいます。素地は厚ぼったく灰白色で、黒ずんだ藍色染付を呉須染付。上絵が赤を主調としたものを呉須赤絵とよばれています。その侘びた風情を茶人は喜びました。

 「鶴の子」は全体に白っぽい色で小さなブツブツがあります。このブツブツは全体に小さな粘土をくっつけて釉薬を掛けて焼いたものです。まことに小ぶりな不思議な茶碗です。あまり他に類例がないのではないかと思います。

 「鶴の子」とは鶴の卵のことです。大綱は実際の鶴の卵を見たことがなかったのでしょう。鶴は古来霊鳥としてめでたい鳥として珍重されてきました。この特異な形状から大綱は鶴の卵を想像したのではないでしょうか。




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