大徳寺管長嶺雲室高田明浦老師虎斑竹茶杓「三笑」です。
中国六朝時代、東晋の廬山(ろざん)慧遠(えおん)という高僧がいました。西方極楽浄土に往生することを念じ、30年の間、一歩も山を出ませんでした。 ある日、詩人の陶淵明(とうえんめい)と道士の陸修静(りくしゆうせい)が彼を訪ねて清談しました。慧遠が二人を見送るとき、話が尽きず夢中になっていつの間にか虎渓に架かる石橋を渡ってしまいました。その時、虎の吠える声を聞いて、初めて山を出てしまったことに気づき、三人で大笑いをした。そのことから「虎渓三笑」という故事が生まれました。
虎斑竹(トラフダケ)は、竹の一種である夜叉竹(ヤシャダケ)に虎斑菌と呼ばれる菌類が寄生し、特徴的な黒い斑紋がでる竹だそうです。江戸時代から、虎斑竹の独特の美しい斑紋から珍重され、産地では伐採の規制がなされてきたそうです。岡山県の真庭市や津山市などには繁茂地があり、国の天然記念物に指定されているとのことです。 そして岡山県の虎斑竹とは別に、牧野富太郎により命名された「土佐虎斑竹」と呼ばれるものが、須崎市安和に自生しています。不思議なことに、土佐虎斑竹は他の場所に植えても虎模様がきれいにつかないそうです。 この土佐虎斑竹茶杓は高山の竹芸家三原啓司さんにいただいたものです。今年の干支が寅年ということで、今回削ったものとのことです。また、私の干支が寅ということもありくださいました。不思議なものです。自分の干支に因むんだものにはとても親近感をもち、またても嬉しい気分に浸ることができます。還暦を迎え、何よりの記念の品となりました。


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