江戸時代前期から中期の茶人で、藤村庸軒の次男で、大坂で茶商関東屋を営み、庸軒流の茶道を継承した藤村正員の漢詩「冬日」です。
冬日
愛日愛来暢四支霜辛雪苦已平夷
傍人醉後憑吾説今世恨無對趙衰 正員
日を愛し来たりて、四支(しし)を暢(の)ぶるを愛す
霜辛雪苦(そうしんせつく、)已(すで)に平夷(へいい)たり
人に傍(そ)ひて醉う後、吾に憑(よ)って説かん
今世、趙衰(ちょうあい)に対(む)かはざるを恨む
日を愛して、日にあたって四肢を伸ばすことを好みます。霜のような辛さや雪のような苦しみは既に癒えました。人と共に醉った後に、私に言わせる。今の時代に趙衰がいないことを残念に思う。
『春秋左氏傳』文公七年に、
酆舒(ほうじょ)賈季(かき)に問うて曰く、「趙衰(ちょうあい)、趙盾(ちょうとん)、孰(いづ)れか賢(まさ)れる」対(こた)えて曰く、「趙衰は、冬日の日なり。趙盾は、夏日の日なり」
とあり、これを踏まえています。
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