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執筆者の写真木津宗詮

初午

今年の2月10日は初午です。稽古の床に桂洲道倫の「伏見人形画賛」を掛けました。花入は昨日奈良の三原さんのところで切らせてもらった布袋竹の尺八に、加茂本阿弥と西王母、雲竜梅を入れました。なお、桂州は、江戸中期の天龍寺221世住職で、 当時から博学文辞に富み、書画に巧で 著名でした。また、6代真伯の門人安田是誰の参禅の師でもあります。


弥勒何故落土偶中 鈴也牛也狐也女郎 也其楽無窮況入 畫没破砕患宜哉忘 却兜卒天宮  亀峰桂洲戯   題(印)


弥勒(みろく)何の故ぞ土偶(どぐう)の中に落ちる、鈴也、牛也、狐也、女郎也、其の楽しみ窮(きわ)まり無し、況(いわ)んや画(え)に入れば破砕(はさい)の患(わずら)い没(な)きや、宜(むべ)なる哉、兜卒天宮(とそつてんきゅう)を忘却(ぼうきゃく)する


弥勒菩薩は釈迦が入滅後56億7000万年ののちに、兜率天から地上にくだり衆生を救済するという未来仏です。この弥勒菩薩が兜率天から土人形の中に降りて、鈴になったり牛になったり、狐・女郎などになり、その楽しみは極まりがない。ましてやこのように絵の中に入ればなおさら土人形と違い割れる心配がない。もっともなことである。弥勒菩薩の浄土である兜卒天宮のことを忘却してしまうという内容が書かれています。 初午は京都の伏見稲荷大社をはじめ全国のお稲荷さんの祭日で、2月最初の午の日にあたり、特に「初午」と呼ばれています。そして伏見人形は、伏見稲荷大社の社頭でお土産として販売されているさまざまな土人形のことです。 和銅4年(711)、京都伏見稲荷大社のご祭神である宇迦御霊神(ウカノミタマノカミ)が伊奈利山(稲荷山)に降り立ったと伝承される日にあたります。





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