• 木津宗詮

春光

偶成  偶成 烟霞深擁北山岑 不用春光向外尋 柳暗花明二三月 黄鴬日々伴吾吟    空花道人(印)  偶成(ぐうせい) 烟霞(えんか)深く北山岑(ほくざん)の擁(よう)し 春光向外(こうがい)に尋るを用いず 柳は暗く花は明るく二三月(にさんげつ) 黄鴬日々に吾に伴い吟ず  大徳寺の大綱宗彦の七言絶句「偶成」です。 題の「偶成」は、漢詩でふとうきあがった詩のことをいいます。  煙の様な霞が北山の峰を包み、春の暖かい光をわざわざ外にもとめる必要はない。春も二三月となると野が花や緑に満ちた美しい景色にあふれる。黄鴬(こうおう)は毎日わたしと一緒に歌う。  「柳暗」は柳が茂って、その陰が薄暗くなることで、「花明」は花が咲いて明るい色が満ちあふれることです。そこで春の美しい景色を表現したもののことをいいます。南宋の詩人陸游(りくゆう)の「遊山西村(さんせいのむらにあそぶ)」に「柳暗花明又一村(やなぎくらくはなあかるくまたいっそんあり))」の句は有名です。 黄鴬は高麗鴬(こうらいうぐいす)のことで、中国や朝鮮半島・ロシア・東南アジアに分布し、稀に渡りの途中で日本に飛来することのある鳥です。  春たけなわの風情を詠んだ詩です。今年は新型コロナウイルスの全国的、いや世界的な蔓延で来年のように春光を満喫することができません。本当に残念なことです。






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