かつて家々をめぐり新年を寿ぐ門付芸の一つに春駒がありました。頰かぶりをし、裁付袴(たつつけばかま)で、三味線と太鼓の囃子に合わせ、木でつくった馬の首形にまたがったり、手に持ったりして歌い踊りました。
めでためでたや春の初めの春駒なんぞ
夢に見てさえよいと申す
日も良し世も良し蚕飼もよろし
がんがんどんどんしゃかしゃかしゃん
あの蚕にこの蚕の桑食う様は
昔源氏の代を盛りの
三歳駒の草食うごとく
がんがんどんどんしゃかしゃかしゃん
という祝言歌を唱えて鈴を鳴らしつつ一踊りを見せました。なお、春駒の淵源は、養蚕の予祝であるとか、宮中で行われていた「白馬節会」(あおうまのせちえ)などの説があるそうです。年の始めの例しとして、白い馬を見て息災を願う行事です。白馬の美しく凛々しい姿を見ることで邪気を祓います。

上賀茂神社 「白馬奏覧神事」
この白馬節会は、上賀茂神社で1月7日に「白馬奏覧神事」にその姿を偲ぶことができます。先ず本殿でご祭神に七草粥をお供えしたのち、参道の傍らの神厩から、壮麗な馬衣で飾った白い神馬を引き出し、巫女が大豆を差し出すというものです。神馬は差し出された大豆を無心に食べ、その姿に参拝者は一年の平穏を感じ、かつ願います 。

春駒や
遊ふ
子ともの
大将ふり
昭和庚午春
露真(印)
3代木津聿斎宗泉の「春駒」画賛です。この春駒は張り子や練り物で馬の頭の形に作ったもに竹をさして胴にした玩具です。春駒にまたがった子どもが立派な大将ぶりで遊んでいる光景をを詠んでいます。







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