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執筆者の写真木津宗詮

玉椿

 玉椿とは椿の美称です。椿は万葉の時代から歌に詠まれた花です。平安時代以降、椿は常緑樹ということから永遠に瑞々しく緑をたたえた木としてめでたいものとして「賀」の歌に詠まれました。天皇の御代や齢の無窮をことほぐ歌が大半だそうです。

なお、『荘子』逍遥遊に、8000年を生長繁茂の春とし、8000年をのあいだが落葉の秋として、人間の3万2000年がその1年にあたるという大椿(だいちん)という大木の話しがあり、このことからも椿がめでたい常磐木とされたのかもしれません。

 写真は幕末・明治の公家正親町三條実徳(おおぎまちさんじょうさねのり)の短冊「椿葉契深(ちんようちぎりふかし)」です。

  椿葉契久

  呉竹の園生に根さす玉つはき

  もろ心にも千世をふぬらし 實徳



呉竹が植えられた庭の椿は、心を併せてあなたとともに千年の年月を経ることでしょう。

この歌の「もろ心」とは心を併せることとか同じ心という意味で、天皇に対して心をひとつにして支えていくという臣下としての思いが込められています。むかしの公家の「賀」の歌には天皇とともに永遠の齢や御代を讃えるものが多く、このような感覚は現在を生きる多くの人たちと異なるものがあるようです。



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