秋田 夕まくれひかぬなるこの音たてゝ あき風さひし賎か小山田 通茂
中院通茂短冊「秋の田」です。夕方の薄暗い中、だれが引いたわけでもないのに鳴子が音を立てています。粗末な山間の田に秋風が寂しく吹いています。秋の趣が日ごとに増していきます。
鳴子はもともとは引板(ひきいた、ひいた、ひた)と呼んでいました。地域や時代によって、ヒタ、トリオドシ、ガラガラなどと呼ばれています。稲などの穀物を野鳥に食べられないようにするため、鳥を追い払う目的で使われてきた道具でです。木の板に数本の竹筒や木片を糸で吊るしたものに長い縄をつけて、この縄を離れたところにいる人が引き、竹筒や木片が木の板に当たって音をたて、この音で鳥を脅かし追い払う道具です。今は木で作った鳴子を見ることができませんが、代わりにCDが吊るされているのをよく見かけます。
先日、隠岐を訪れました。たわわに実る稲穂にたくさんの雀がとまって籾を食べていました。隠岐の田はいよいよ収穫を迎えようとしていました。
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