京都鶴屋の「荘子」です。黒いこし餡種を黄色いこなしで包み、上にいも餡で型で抜いた蝶をのせた春らしい菓子です。こなしは少し歯ごたえがあるのに口どけがよく、中の黒餡 と合わさると小豆の風味を感じる事できます。
荘子(荘周)は中国の戦国時代の宋国生まれた思想家で、いわゆる諸子百家の一人です。道教の始祖の1人とされる人物です。その著書の『荘子』の中の説話に、 荘子が蝶になった夢をみました。そして花の間をひらひらと飛んで楽しみました。ところが蝶になった荘子は自分が荘子であることを知りません。ふと目が覚めて我にかえってみると、自分は紛れもなく荘子であった。自分は蝶になった夢をみていたのか、それとも今の自分は蝶が見ている夢なのか。
この説話がもととなったことわざに「胡蝶の夢」というのがあります。夢と現実との境が判然としないたとえとか、この世の生がはかないたとえとして用いられています。
菓子としての「荘子」は春爛漫、百花繚乱のこの季節に花から花へ舞う蝶をイメージしたお菓子です。なお、京都鶴屋には粒餡を麩焼きで長方形に包み中央にかわいい蝶の焼印を押したまことにシンプルな同名のお菓子もあります。
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