• 木津宗詮

進物

 子どもの時分父親が婚礼や何かの祝いの会で大の形をした砂糖をもらってきました。今から考えてみると砂糖がまことに貴重品であった時代だったのです。

 実際、その時分、安物のお菓子にはサッカリンやチクロといった人工甘味料が使われているものがあり、母親からそんなお菓子を食べてはいけないと言われました。なお、当時はサッカリンが発がん性物質とされていました。現代はそうでないと立証されているようです。皮肉なことに、昨今サッカリンがダイエットや健康のために重宝に使われているようですです。

 ちなみに、今も地方に行くとお菓子がとても甘く、また、料理が甘辛い味付けであったりすることがあります。これも砂糖が貴重だった時代の名残だと思っています。また、中国や韓国、東南アジアのお菓子や料理がとても甘かったり、茶に砂糖などの甘味料が入っていたりします。以前、インドネシアに行った時、日本製の茶以外は甘く、特にコーヒーの格別甘かったのがとても印象に残っています。

 私は甘さは美味さの大切な要因だと考えています。実際、近年砂糖を抑えた菓子をいただくことがあります。美味しいと思うものもありますが、極端に甘さを抑えたものは正直美味しくないと思っています。やはり適度な糖度がなければお菓子も料理も美味しくないです。

 わが国が経済的大国になり、また流通も良くなり国内始め海外の砂糖が大量に手軽に手に入ることになりました。そうしたことから砂糖は特別な貴重なものでなくなりました。同様に一部の高級な品を除けば卵もとても安価で手に入るようになりました。昔は病人のお見舞いに卵が重宝に用いられました。

もう長らく砂糖を進物でいただくこともありません。この看板を見て子どもの頃のことを思い出しました。いろんな食品がありますが、砂糖と卵ほど価値のなくなったものはないのではないかとつくづく思いました。






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