朝顔に釣瓶取られて貰い水
加賀千代女の俳句です。朝早く井戸から水を汲もうとしたら、釣瓶に朝顔の蔓がつたっていて、その蔓を剪って水を汲むには忍びないので、隣の家に水を貰いに行くという句です。
釣瓶は「吊(つ)る瓮(へ)」の意味で、井戸の水をくむために、縄や竿などの先につけておろす桶などの容器のことをいいます。釣瓶の語源の一つに「連るぶ」があります。そして続けざまという意味もあり、釣瓶以外にの表記に「連るべ」もあります。
釣瓶には「素早さ」や「急」や次々といった意味もあります。秋の日の暮れやすいことのたとえとし「釣瓶落とし」とか、弓矢や火縄銃などにおいて、交代で続けざまに打つのを「釣瓶打ち」とか、籠でできた「籠釣瓶」は水が素早く洩れることから、その素早さを刀の切れ味にたとえてよく切れる名刀を示します。
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