柳は縄文時代から石斧(せきふ)の柄(え)や漁労用具として用いられてきました。『万葉集』に、


  青柳の枝伐り下ろし齊種(ゆたね)蒔き    ゆゆしき君に恋ひわたるかも


と歌われています。「青柳の枝を切り取って田に差して神聖な種を蒔くように、畏れ多い身分のあなた様に恋してしまったようだ」。斎種とは、豊穣を祈って斎(い)み清めた種籾のことです。昔から田の水口に柳をさす風習があり、田の神を勧請するためとか、柳は挿木でよく根づくことから稲の根を張るようにとの類感呪術とみられています。ちなみに柳は「箸を立てても芽が出る」といわれるほど生命力の強い植物です。また『同集』には、


  青柳の上(ほ)つ枝(え)よぢとりかずらくは   君が屋戸(やど)にし千年(ちとせ)寿(ほ)くとぞ


とあり、「葉をつけた柳の柔らかな枝を手折って蔓にするのは、あなたの家で千年の栄えを祝うためである」という意味で、春に柳が真先に芽吹くことから生命力復活のシンボルとされてきました。昔の人は柳で鬘(かずら)を作って挿頭(かざ)すことで、さまざまな願い事が成就できると信じていたのです。  こうした風習は中国の影響によるものだそうです。昔の中国では正月の朝、柳の枝を戸口に挿して百鬼が家に入るのを