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執筆者の写真木津宗詮

漢字

これを見て学生時代に受けた漢字の大碩学白川静先生の特別講義を思いだしました。

もともと「人」という文字に人が人を支えるなんて意味なんかありません!

「人」という漢字は中国殷代に王が吉凶を占うに用いた甲骨文字という象形文字です。象形文字は漢字のもとになったもので、少なくとも紀元前 14 世紀には中国で使われていたそうです。象形というのは、指事(しじ)、会意(かいい)、形声(けいせい)、転注(てんちゅう)、仮借(かしゃく(といった漢字の作り方・使い方の 1 つです。

中国の甲骨文字も、エジプトのヒエログリフも具体物をシンボル化した象形文字で、ヒエログリフにも、メソポタミアの楔形文字にも、漢字でいう「扁」と「旁」があります。そうしてできた文字から、やがて音だけを仮借して字形を簡略化したものが、西洋ではアルファベットとなり、日本では仮名文字になります。

そもそも「親」という漢字は左に「立と木」、右に「見」で、「立」という字は、「立」ではなく「辛」という字です。「取っ手のある大きな針」という象形文字です。これは入れ墨や投げ針として使う針を表していて、入れ墨するときの痛みから「つらい」という意味となり、それが味覚に移されて「からい」という意味になったそうです。そしてその針を木が生えている林の中に投げ入れて針が刺さった木を切って亡くなった親の神主(位牌)をつくります。それを斧で切ると「新」という字になります。「斤」という字は斧です。亡くなった親の神主(しんしゅ・位牌)を新しく作る。それに草冠をつけると「薪」となる。新しく神主に選ばれた木は祭りのときに燃やして使うので「まき」という意味になるのだそうです

右の「見」は親の神主を見る。すなわち亡くなった親のことを思い出しながらそれを見るということから、「親」という漢字が生まれたそうです。そこから「したしい」という意味も生まれました。

ちなみに「取」という漢字は、左に「耳」がついています。「又」という字は「右手」を表し、「右手で左の耳を持っている」という意味です。これは戦争で殺した敵の左耳を切って、戦功の証拠とすることから生まれた漢字です。

私たちが日頃使っている漢字の成り立ちはとても面白く興味深いです。今の感覚で見るとその真意がわかりません。成立した時代背景を十分理解した上で解釈しないととんでもないことになります。

以前、学生時代から親友である坊さんが、法事の後の法話で親の大切さを説くのに、「親という漢字は木に立って子どものことを見ている」と説明していたのを、牽強付会(きょうけんふかい)、断章取義(たんしようしゅぎ)、有厚無厚(ゆうこうむこう)だと言ってたからかったのを思い出しました。

人が人を支えるなんて後出しジャンケンですよー


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