• 木津宗詮

月の光に包まれる

暮塵微雨収 蟬急楚鄉秋 一片月生海 幾家人上楼


暮塵(ぼじん)微雨(びう)に収まり 蟬は急(せ)く楚鄉(そきょう)の秋 一片(いっぺん)の月海に出ず 幾家(いくか)の人樓に上る


 中国五代の禅僧貫休の「旅中懐孫路」です。小雨が降って、ゆうぐれの塵が収まり、蝉は楚の村の秋に、急ぐように鳴いています。月が海上に昇ってきたました。あまりの美しさに、大勢の見物人が家々から楼に上ります。皆の心が一つを見つめ、月にすべてが包まれて世の中はただ一つの月だけになりました。  12代家元愈好斎と木津家3代聿斎宗泉の参禅の師であった大徳寺僧堂師家で元聚光院住職川島昭隠老師の二行書「一片月生海幾家人上楼」です。月はたったひとつでも眺める人はたくさんいます。人の徳もその人個人の努力によって磨かれていきます。徳の高い人を敬い慕う人はみなお同じです。 わたしも限りなく美しい月のように徳を磨かなければなりません。多分残りの時間を費やしても、いや一生、ニ生、何生費やしてもすべてのものを包む光を放つようになるなど到底無理なことです。  この言葉はわたしの座右の銘であり、日夜努力していく戒めの言葉でもあります。


大徳寺僧堂師家・元聚光院住職川島昭隠老師二行書 一片月生海幾家人上楼



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