床に江戸時代中期の国学者富士谷御杖(ふじたにみつえ)二首詠草です。

年かな
こりてやくれし
こりに
いのこりに
いはかねのゆきの朝こり
としの
くれによセる
御杖
けり
きに
春は
心さたまる
花ミむと
よしの丶山に
三よし野の
年の始めに

右側には岩盤に昨夜雪が積もり、今朝その溶け残りが固まりに固まりアイスバーンになったそんな凍てつく年の暮れを詠み、中央に署名をし、左に今年こそは吉野の桜を見に行こうと堅く心を定めた春がやってきたという心を歌っています。左右に二首の和歌を散らし、中央の余白を残したまことにおもしろい軸です。ここ数日の寒さはまさにこの和歌の年の暮れの風情です。
伊賀の耳付花入に曙椿と白梅を入れました。

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