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執筆者の写真木津宗詮

4月8日 稽古場の床

大阪の稽古場の床は拙叟宗益賛になる狩野永岳画誕生仏図です。薮椿と八重山吹を小代焼蹲花入に入れました。拙叟宗益は大徳寺四百四十七世で、二代得浅斎宗詮の参禅の師で、狩野永岳は京狩野家九代で九条家の家臣で、復古大和絵師の冷泉為恭は甥にあたります。

天上有星皆向北  

人間無水不朝東

人間天上長如是  

成仏渡生此脱空

     前大徳拙叟盂盥焚拝題(印)


天上に星有り皆北を向く  

人間水として東に朝せざるものなし

人間天上長きことかくの如し  

成仏渡生(どせい)この脱空(だつくう)

   前大徳拙叟盂盥焚拝(うかんふんはい)題(印)

お釈迦さんがこの世に誕生して「天上天下唯我独尊」といってから、天上界の数多の星はみな北極星に向かって回っています。多くの人々はお釈迦さんの教えを求めて帰依しています。地上の人間界では川は東に向かって流れ、東に向かって流れない川はありません。それは仏法がはるか天竺から東に向かい中国、日本に伝わっきたことと同じです。そして人々はお釈迦さんの教えに従い、仏の道を歩まぬ者はいないのです。このように人間界の川の流れは常に東に向かってきました。そして天上界の星もとこしなえに北極星に向かってきたのです。悠久の歴史の中で、人々もお釈迦さんへの求法の志を持ち続けてきました。お釈迦さんは志を立て、仏としての自己を自覚し苦界に沈む人々を救っています。この果てしもない空しさから人々を救おうとしているのです。

盂盥は花で飾った花御堂の中央に誕生仏像を安置し、甘茶を満たした灌仏桶のことです。拙叟自身が盂盥に身を置き香を焚いて清めていることを意味しています。

今日四月八日はお釈迦さんの誕生を祝う灌仏会・花まつりです。


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