江戸時代末の公家千種有功(ちぐさありこと)の二首詠草です。
有功
夏祝
石上ふるのわさ田もにきはひて
としあるみよのさなへとる也
五月雨
玉たれに残るあふふのかれはさへ
うるひにけりなさみたれのころ
有功は和歌や書が巧みで、また刀剣の収集家で、愛好のあまり自ら刀を鍛え、自詠の和歌をその刀身に陰刻したとのことです。
石上(いそのかみ)の布留(ふる)の早田(わさだ)でお米がたくさん収穫できるこの天皇の治世を、お百姓たちが喜びにぎわいながら早苗をとっている平和な光景を詠んでいます。もう一首は、美しい簾に葵祭の掛鬘(かけかずら)の葵がひからびて枯葉となっています。ところが五月雨のおかげでその枯葉が潤っているのではないかと思われるそんな長雨のころを歌っています。
今年は一昨日梅雨入りしました。雑節の「入梅」も同日でした。まさに暦通りでした。1週間ほどは連日雨降りとのことです。憂鬱な天気が続きますが、今この時に降らなければ秋の米の収穫に多大な影響がでます。災害を及ぼすような豪雨は困りますが、適切な量の雨が降ることを願っています。
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