夏の祝

 江戸時代末の公家千種有功(ちぐさありこと)の二首詠草です。



             有功

  夏祝

石上ふるのわさ田もにきはひて

としあるみよのさなへとる也

  五月雨

玉たれに残るあふふのかれはさへ

うるひにけりなさみたれのころ


 有功は和歌や書が巧みで、また刀剣の収集家で、愛好のあまり自ら刀を鍛え、自詠の和歌をその刀身に陰刻したとのことです。

 石上(いそのかみ)の布留(ふる)の早田(わさだ)でお米がたくさん収穫できるこの天皇の治世を、お百姓たちが喜びにぎわいながら早苗をとっている平和な光景を詠んでいます。もう一首は、美しい簾に葵祭の掛鬘(かけかずら)の葵がひからびて枯葉となっています。ところが五月雨のおかげでその枯葉が潤っているのではないかと思われるそんな長雨のころを歌っています。

 今年は一昨日梅雨入りしました。雑節の「入梅」も同日でした。まさに暦通りでした。1週間ほどは連日雨降りとのことです。憂鬱な天気が続きますが、今この時に降らなければ秋の米の収穫に多大な影響がでます。災害を及ぼすような豪雨は困りますが、適切な量の雨が降ることを願っています。




60回の閲覧0件のコメント

最新記事

すべて表示

石ひとつ

石ひとつ筆にも濡れて初時雨 武者小路千家11代家元一指斎が友禅染地露地絵に発句を書いています。 十徳を着た宗匠が正客で、次客と末客は裃を着用し腰に脇差をさした武士です。時雨が降っているのでそれぞれ露地笠をかざし下駄を履いて飛び石をすすんでいます。初時雨ということから炉開き、または口切の茶事に招かれたのでしょうか?よく見ると正客と次客の間の飛石があとから墨で書き加えられています。着賛された発句の「筆

​お問合せ

一般財団法人卜深庵

  • Grey Twitter Icon
  • Grey Instagram Icon
  • Grey Facebook Icon

© 一般財団法人 卜深庵 All Rights Reserved.