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南山寿の如し

『詩経』小雅に、臣下が君を祝福する詩「天保(てんぽう)」に、

如月之恒、如日之升、如南山之寿、不騫不崩、如松柏之茂、無不爾或承

月の恒(つね)なるが如く、日の升(のぼ)るが如く、南山の寿の如く、騫(か)けず崩れず、松柏の茂る如く、爾(それ)に承くる或(あ)らざるなし

欠けも崩れもしないものとして、月や日と並び、南山が引き合いに出されています。南山が崩れないように生命や事業がいつまでも続くこととか、人の長寿を祝うことばとして用いられています。

この詩で「如」という字が9回使われていることから、「天保九如(てんぽうきゅうじょ)」という四字熟語ができています。「南山如寿」や「南山之寿」と同じ意味で用いられています。南山は、長安の南にある終南山(しゅうなんざん)のことです。

なお、同様の句で「寿比南山(じゅこれなんざんなり)」があります。これは高齢者の福禄を祝う言葉で、「福如東海(ふくとうかいのごとし)・寿比南山」と連句になっています。その意味は、福は東海に長く流れる水のように続き、寿は南山の不老松より高齢であるように、山や海より、長生きするという、おめでたい時に使うことばです。中国では一般的に誕生日メッセージの決まり文句のひとつとなっています。

南山如壽

   宗屋十歳(花押)

一指斎十歳の幼年書になる「南山寿の如し」です。一指斎は家元歴代の中でも達筆な宗匠です。

南山送寿杯

宗詮(花押)

もう一幅は初代木津松斎宗詮の「南山送寿杯(南山に寿杯を送る)」です。欠けることのない南山に寿盃を送るという意味です。

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