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執筆者の写真木津宗詮

蛙(かわず)

玉川は山吹の歌枕として古来有名です。また井手を歌った和歌には蛙に関するものは83首が数えられ、古来より井手は山吹とともに「蛙」の名所としても知られていました。




鴨長明の「無名抄」には、


色黒きやうにて、いと大きにもあらず。世の常の蛙のやうにして、現(あら)はに踊り歩(あり)く事などもいと侍らず。常には水にのみ棲みて、夜更くるほどに、かれか鳴きたるは、いみじく心澄み、物あはれなる声にてなん侍る。


大きさが普通の蛙と同じくらいであるが、色は黒くさほど飛び歩くこともなく、いつも水の中にいて、夜がふけるとその鳴き声は清らかで、人の心をしみじみとさせると井手の蛙を褒めています。


色も香も なつかしきかな 蛙鳴く

井手のわたりの 山吹の花

         (小野小町『新後拾遺集』)


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