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鯱鉾(しゃちほこ)

 鯱鉾とは、火除けのまじないとして城の天守や主要な櫓や櫓門、寺の山門などの大棟の両端に取り付けられた陶器製のものや、銅板張木造のものです。中を空洞にして作られているので棟から突起した心棒に突き刺し、補強材を付けて固定されそうです。一字で鯱(しゃちほこ)・鯱鉾とも書かれます。

鯱は姿は魚で頭は虎、尾ひれは空を向き、背中には幾重もの鋭いとげを持っているというインドの空想上の動物。魚みたいな形をしていますがじつは水竜です。

 普通2匹が向かい合って取り付けられます。これはお互いが監視しあって悪さをしないようにという意味がこめられているのだそうです。そして鯱は海の水を一気に飲み干し、よく雨を降らすとされ、建物が火事の際には水を噴き出して火を消すということから屋根にのせられました。本来は、寺院の厨子等を飾っていたものを織田信長が安土城天主の装飾に取り入り使用したことで普及したといわれているとのことです。

 金の鯱鉾というと名古屋城の天守閣が有名で、これを金鯱(きんしゃち・きんこ)というそうです。金鯱は粘土製の素焼きの鯱瓦に漆を塗り金箔を施したもので広島城の天守や岡山城の天守などがあります。金板張の木造鯱は徳川家康が初代江戸城天守に上げたのが初めとされているとのことです。のちに名古屋城大天守、徳川幕府によって建てられた大坂城天守などです。

 なお、寺院で用いられる鴟尾(しび)は中国では大棟の両端を強く反り上げる建築様式が鴟尾となったと考えられているとのことです。のちに鴟尾は魚の形、鯱の形に変化していったそうです。

 鯱鉾の姿は水面から飛び上がり尾を水面上に出した姿を表し、屋根の上面が水面であり、その下にある建物は燃えないという意味があります。同様のものに「水」という文字の有鬼瓦や、またその鬼瓦に「波」の意匠が用いられたり、また「天井」のは天の井戸、天井と壁の接する部分に設ける廻り縁(まわりぶち)は北極星を中心に運行する星の向きに元・末を合わせています。鴨居(かもい)の「鴨」は水鳥、敷居は同じく水鳥である「鴫(しぎ)」。大工道具の指矩(さしがね)に刻まれている文字はそれぞれ北斗七星の星の名前で、北斗七星は天の「柄杓」です。墨壺(すみつぼ)のデザインは波です。このようにむかしの人は建物の中にたくさんの水に関わるものを持ち込んで火災から守ろうとしたのです。今もむかしも全く変わりませんが、この世の中でもっとも恐ろしいものの一つが火災です!




   神宮祭主職者舎(旧慶光院)の門の鯱鉾です。見事なヒゲです。こんな長いヒゲをつけているのは他で見たことありません。

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