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『束斎聞曞 文化十䞀戌正月九日』

廻り花は、い぀もの劂くしお、花を止めたる時、亭䞻花台を匕きおすぐに小口を持ち出でお氎を匵る。尀、小口は右の手にお手を持ち、巊を口の方ぞ添えるなり。その埌、䞊客の花にお止めたるならば、二客より次瀌しお䞀人ず぀床の前ぞ行き花を芋お仕舞い候。亭䞻が芋お埌、勝手口ヘ座り䞀瀌しお仕舞うなり。花生は眮におも、二重

におも、篭におも䜕におも苊しからず候なり。


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廻り花は、い぀もの通りにしお、花を止める時には、亭䞻が花台

を匕いおすぐに小口を持ち出でお氎を匵る。もっずも小口は右の手で小口の手を持ち、巊を小口の口の方に添えるのである。その埌、䞊客が花で止めたる堎合は、二客は䞉脚に次瀌しお床の前に行き花を芋、以䞋同様に順に䞀人ず぀床の前ぞ行に行っお花を拝芋しお仕舞う。亭䞻は芋たのち、勝手口に座り䞀瀌しお仕舞うのである。花入は眮花入でも、竹二重切花入でも、篭花入でも、どのような花入であっおも差し支えない。


廻り花

 『宗守流茶事蚘』には、䞀啜斎時代の廻り花の具䜓的な所䜜の蚘述がある。これも以䞋に玹介する。


廻り花 昌に限るなり。炉、颚炉ずも同断。

䞀廻り花は、氞き日茶事埌、たたは栌別に催しおもよし。床掛物はすし、二重切向釘に掛けおよし。もっずも眮筒も甚ゆるなり。客着座しお花台に花をたくさん組みしお、花切小刀右の方ぞ眮き、持ち出で、床の軞脇に眮く。亭䞻末座に䞋がりお挚拶する。䞊客請いお次ぞ䞀瀌するなり。䞀遍は段々に次瀌あるなり。二遍目よりは瀌に及ばず。それより䞊客立ちお床前ぞ盎り、花台を右の方ぞ真盎に䞋ろし、花を拵え、花生ぞ手際に入るべし。それより盞客

そのたたにお花を芋るべし。二客目花生様、花台䞊客䞋ろしたるたたにお、仕舞いお床ぞ䞊がるなり。二重切なれば䞊客䞊の重ぞ生けるなり。二客目䞋に生けお、䞉客䞊の重ぞ生けるによりお、䞊客ぞ花䞊げの䞀瀌するなり。もっずもこれも初め䞀段ばかり花䞊げの䞀瀌である。二床目よりは瀌に及ばずなり。花をそのたたにお眮きお、指添えるずきは瀌に及ばず。䜕人䜕遍におも同断。花少なければ、亭䞻盆抔にのせ持ち出でお、花台ぞ䞊げおもよし。最早盞枈み候えば、亭䞻花台匕き、氎次持ち出で氎を匵るなり。もっずも留花はたず䞊客宜し。ただし氎次に茶巟のせお出る。花台閉目向うぞする也


珟行の廻り花ずの察比

 基本的に廻り花の匏方は同じである。ただし氎を泚ぐのに小口を甚いおいる。盎斎の蚀説を門人で宇治の詰垫竹田玹枅ず西村宗玔が蚘した『茶道聞曞』にも、奜々斎の䌝曞『官䌑録』も花に氎を足すのに小口が甚いられおいる。同曞も花を入れたのちに花台を氎屋に䞋げ、改めお小口に氎巟ではなく、他の千家同様茶巟が添えられお持ち出され、そしお花入に氎を足しおいた。珟圚行われおいるようにあらかじめ花台に花ず利䌑圢の小刀ず同じく利䌑圢の花氎次を仕組んで甚いられないのが䞀般的であったようである。なお、『官䌑録』には「花氎次利䌑圢なり、仙叟奜なずあり、是を甚テモ䞍苊、。其䞊ニ氎次ノ巟ナゟノセ眮ナリ」ずあり、利䌑圢や仙叟奜みの花氎次も甚いるこずがあったこずがわかる。

 珟行のように、花入も二重切や䞉重切を釘に掛けお甚いるのではなく、眮花入であっおも、篭であっおも、どのような花入であっおもよいずされおいた。たた二重切花入は、䞊客は䞊の窓に花を入れ、二客が䞋の窓に入れるずいうのが興味深い。『官䌑録』に、


 二重切ノ花生ニ䞀重ニ花ヲ掻ル時ハ、䞊ノ重ニ花ヲ掻、䞋ニ明眮吉、䞋ニ花ヲ掻、䞊ヲ明

 ケ眮事䞍臎。


珟行ずは逆で、䞊の窓に花を入れ、䞋には入れず、その逆はしないずしおいる。聿斎の『官䌑枅芏』には、織郚や盎斎は䞊の重に氎を匵り、䞋の重に花を入れたずある。そしお䞀指斎から聿斎時代には奜々斎同様、䞊に花を入れ、䞋に氎を匵るだけであったのである。その埌、再び盎斎時代のように䞊の重には氎のみを匵り、䞋の重に花を入れるようになり珟圚に至っおいる。このように二重切花入の䜿い方が、時代や家元奜みにより倉遷があったこずがわかる。

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