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執筆者の写真木津宗詮

雪に花いつもなかむるそまか宿





石川県金沢市に隣接する白山市鶴来は手取川の扇状地の扇頂に町があり、白山麓の玄関口にあたります。先日、56年ぶりに家元が献茶を奉仕した白山比咩神社(しらやまひめじんじゃ)が御鎮座する町です。 その鶴来から上流にあがった白山麓の旧河内村(現白山市)にザルやソウケ(米あげざる)、イコ(エコ、背負い篭)などの日用雑器をコツラ(マタタビ)で作る伝統工芸があります。現在は技術を継承する人も少なくなり、また材料の入手が困難になり希少な民芸品となっています。なお、薄く削がれたコツラで編まれたザルやソウケは水きれが良いことから台所の水仕事で使うのに重宝したそうです。山仕事で枝打ちなどの日常使われる鉈を入れる鉈篭(なたかご)もコツラの厚い樹皮部で編まれています。鉈を頻繁に出し入れし、その重さを受け止めることができるように口はぶ厚く頑丈に作られています。とても力強いデザインで造形的です。


鉈篭を花入として利休が見立てたとされています。利休所持で藪内家に伝来した「鉈鞘篭花入」は、利休から藪内家初代剣仲に贈られたものとして有名です。 内箱蓋表に利休の筆で「なたのさや 花入」、内箱蓋裏に藪内家5代不住斎が「利休所持 古紹智より伝来也」と認められ、受筒には藪内家2代真翁の花押があります。 また竹心の時に故あって山田家に譲られ、さらに竹田家に伝わったと外箱に書かれています。 そして竹心の添状には剣仲の女婿にあたる古田織部がこの花入れを懇望しますが許されず、秘かに持ち帰ったところ、剣仲がひどく立腹したため、詫び状を添えて剣仲の元に花入を返したとあります。なお、『天王寺屋会記』天文18年(1549)正月9日の徳安の朝会に「柱ニなたのさやニ松・梅入」とあるのが初出とのことです。 写真は木津家3代聿斎宗泉の書付になる白山鉈篭(コツラ細工)です。

白山なたかこ花入 雪に花いつもなかむる そまか宿 聿斎



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