五色の幕
- 木津宗詮
- 2020年6月8日
- 読了時間: 1分
「天子南面」するの言葉があります。御所の紫宸殿やかつての大極殿は南向きです。その中には玉座である高御座があり天皇は北を背にして南に向いて座ります。南面すると太陽は東から昇り西に沈みます。五色の幕は東から始まり西で終わるように張ります。幕の色の順番は「青(緑)」から始まり「黄」・「赤」・「白」・「黒(紫)」となります。だから膜を張る時は建物の内側側から見て左から右に張るのが正しい作法です。
この五つの色は、古代中国の自然哲学の「五行思想」よると、万物は木・火・土・金・水の5種類の元素からなるという説で、それぞれの色には意味があるというものです。「青 」は「木」で方角は「東」、季節は「春 」、徳目としては「礼 」、感覚機能としては「目」、五つの聖なる獣として「青竜」です。「赤」は「火」、「南」、「夏」、「仁」、「舌」、「朱雀」。「黄」は「土」、「中」、「土用」、「義」、「口」、「黄麟」。「白」は「金」、「西」、「秋」、「智」、「鼻」、「白虎」。「黒」は「水」、「北」、「冬」、「信」、「耳」、「玄武」。
写真の幕は由緒のある寺の幕です。三門の寺の幕は正しく張られています。あとは張り方が逆になったいます。有職故実を理解せずに幕が張られています。由緒のある寺だけにとても残念です。




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