三上山(みかみやま)は滋賀県野洲市三上にある山で、別名「近江富士」近江富士として知られています。標高432m。浸蝕から取り残されて孤立した丘陵です。麓の標高は決して高くありませんが、近江平野にそびえるその姿は凛として抜きん出る存在です。琵琶湖を挟んだ湖西地方からも
望むことのできる端正な山です。
打ち出でて三上の山をながむれば
雪こそなけれ富士のあけぼの
紫式部が大津の打出浜で三上山をながめて詠んだとされる和歌です。
御上神社の社伝によると
孝霊天皇6年に、天之御影命が三上山山頂に降臨され
たので、神孫の御上の祝等は、この山を清浄な神霊の
鎮まります山として斎まった。
とあります。
また、天地開闢から推古天皇までの歴史が記述されている『先代旧事本記』には、
一夜に近江の地折れて湖水となり、その土は駿河の富
士山となる。土の少し残れるを故に、三上山となす。
とあります。そして南北朝の北畠親房が著した有職故実書『職原鈔』に孝霊天皇3年3月15日に富士山と琵琶湖ができたとあり、江戸前期の浅井了意の『東海道名所記』には同じく孝霊天皇の御代に富士権現が近江国の土で一夜のうちに富士山を作り、夜が明けたのでもっこをを捨ててできたのが三上山で、そして琵琶湖も同時にできたとあるとあります。
また、藤原秀郷(俵藤太)による大ムカデ退治の伝説でも有名です。
明日から家元の東京初釜です。その準備に向かう新幹線の車中から三上山を望み、かつて三上山に登り、御上神社にお参りしたことを思いつつ、以前書いた文章を改めました。
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