風鈴
- 木津宗詮
- 2020年8月12日
- 読了時間: 1分
道元の『正法眼蔵』巻二・ 摩訶般若波羅蜜に師匠である如浄の語とし「風鈴頌」があります。風に吹かれて揺れる風鈴の姿、そしてそこから生じる「チリンチリン…」という音を、「悟り」の境地に喩えて読んだものです。唐の香巌智閑(きょうげんちかん)は掃除中に竹に小石が当たる音を聞いて悟り、一休は闇夜に烏の鳴き声を聞いて、白隠は暁の鐘の音を聞いて悟りを開いたと伝えられています。長年にわたり真摯に修行を積み、時機到来した機縁が小石が当たる音・烏の鳴き声・鐘の音で、その真実の声を聞いた時、真実の姿が見えるということだそうです。この風鈴頌も真実の音を詳しく示しているのでしょう。

南宗寺田島碩應(せきおう)老師の筆になる「風鈴頌」です。
渾身似口掛虚空、不問
東西南北風、一等為他
談般若、滴丁東了滴
丁東 (印)
渾身(うんしん)口に似て虚空に掛り、東西南北の風を問わず、一等他と般若を談ず、滴丁東了滴丁東(ていちんとうりょうていちんとう)
風鈴というものは、体全体が口のような恰好をして空間にぶら下がっている。東・西・南・北のどこから風が吹いてきても常に音を出す。どんな風でも常に他の人のために般若(正しい智慧)を語っている。その般若とは風に吹かれて「ていちんとうりょうていちんとう」と鳴るのである。
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