風鈴

 道元の『正法眼蔵』巻二・ 摩訶般若波羅蜜に師匠である如浄の語とし「風鈴頌」があります。風に吹かれて揺れる風鈴の姿、そしてそこから生じる「チリンチリン…」という音を、「悟り」の境地に喩えて読んだものです。唐の香巌智閑(きょうげんちかん)は掃除中に竹に小石が当たる音を聞いて悟り、一休は闇夜に烏の鳴き声を聞いて、白隠は暁の鐘の音を聞いて悟りを開いたと伝えられています。長年にわたり真摯に修行を積み、時機到来した機縁が小石が当たる音・烏の鳴き声・鐘の音で、その真実の声を聞いた時、真実の姿が見えるということだそうです。この風鈴頌も真実の音を詳しく示しているのでしょう。



南宗寺田島碩應(せきおう)老師の筆になる「風鈴頌」です。


渾身似口掛虚空、不問

東西南北風、一等為他

談般若、滴丁東了滴

丁東  (印)


渾身(うんしん)口に似て虚空に掛り、東西南北の風を問わず、一等他と般若を談ず、滴丁東了滴丁東(ていちんとうりょうていちんとう)


風鈴というものは、体全体が口のような恰好をして空間にぶら下がっている。東・西・南・北のどこから風が吹いてきても常に音を出す。どんな風でも常に他の人のために般若(正しい智慧)を語っている。その般若とは風に吹かれて「ていちんとうりょうていちんとう」と鳴るのである。

61回の閲覧0件のコメント

最新記事

すべて表示

石ひとつ

石ひとつ筆にも濡れて初時雨 武者小路千家11代家元一指斎が友禅染地露地絵に発句を書いています。 十徳を着た宗匠が正客で、次客と末客は裃を着用し腰に脇差をさした武士です。時雨が降っているのでそれぞれ露地笠をかざし下駄を履いて飛び石をすすんでいます。初時雨ということから炉開き、または口切の茶事に招かれたのでしょうか?よく見ると正客と次客の間の飛石があとから墨で書き加えられています。着賛された発句の「筆

六根

​お問合せ

一般財団法人卜深庵

  • Grey Twitter Icon
  • Grey Instagram Icon
  • Grey Facebook Icon

© 一般財団法人 卜深庵 All Rights Reserved.